さいじょーさんの「好きな元素はタングステン」

これは文句やない。世直しや。

ほんとに「中国産」は悪者か

こんにちは、さいじょーです。

 

 

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皆さんは「中国産」と書かれた食品を買うことはできますか?

 

 

僕は食品工場に勤めているのですが、一部、中国から原料を取り寄せて加工する製品もあります。

 

そして店頭販売なんかでお客様と直に対面した時、やはり少数ながら「中国産」の文字を見ただけで商品を棚に戻す方もいらっしゃいます。

 

「中国産」の食品を買わないという方は、なぜ中国産が嫌いなのでしょうか。

 

 

 

やはりその理由の大部分は信頼度。これに尽きると思います。

 

ひき肉として加工されていた商品に段ボールを混ぜていたり、

冷凍食品から農薬の成分が検出されたり、

とんでもないことをやらかしているニュースが日本でも流れていたのを見たことがあるでしょう。

 

とにかくやらかす1発がエグい。だからそれに関連して、他の商品に対しての信頼度も激落ち、結果「中国産」の表記だけで買わない人が増えたというのが多数でしょう。

 

 

 

しかしですよ?

 

輸入食品というのは、日本に入ってくる段階で税関が抜き打ちで品質調査というものを実施しているんですね。

 

それは厚生労働省がHPで公開しているのですが、残留農薬食品添加物、微生物汚染等、規格に沿わない製品が発見された場合、税関の時点で廃棄や積み戻し等の措置が行われているのです。

 

 

その件数がこちら、令和元年では輸入総重量に対し8.5%を検査。

そのうち0.03%が日本の規格に違反しているということで廃棄または積み戻しが講じられた、と。 

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そして輸入品目の多い国としてやはり上位に来るのが中国、アメリカ、オーストラリア、東南アジア諸国etc…

 

品目や数量が多いと、もちろんそれに比例して違反件数も増加するのですが

各調査対象の違反件数の内訳を見ると中国が特別多いというわけでもなく、

アメリカやアジア諸国からもしっかり出てるんですよね。

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これを見ると国や商品の特色が表れていておもしろいですね。

 

輸入する商品として加工食品は中国が、原料そのものではアメリカが多いように感じます。

原料系のなかでもトウモロコシや小麦はアメリカが強いうえに、日本での自給は低いのでしょう。

 

 

そしてそして、食品の抜き打ち検査というのは人間の体内に直接入るものなので

輸入品だけでなく国内品も同じく実施しているんですね。

 

これは平成26年と少し古いデータですが、東京都で行われた食品調査による違反件数の割合。

国内品・輸入品ともに0.07%と同じ。

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つまりは、

中国産だから悪い・怖い。

アメリカ産なら大丈夫。

中国産と書いてなければOK。

いやいや、私は国産のものしか買いません。

 

なんていろんなお人がいらっしゃるのですが、その根拠はどこからですか?と問いたい。

 

 

中国に限らず世界各国からも違反商品は発見される。

まして国内国外の違反件数に大きな違いはない。

と言うよりもう、そもそも今の時代は食品の安全基準なんて爆上がりしている。

 

日本において世に出回っている食品というものは基本的には安心安全で当たり前なのです。

 

 

 

 

 

ではなぜ中国ばかりが目の敵にされるのか。

それは冒頭でも述べたように、やらかす事故の1件1件の内容がエグいことによる信頼度の低下。

 

そしてもうひとつは、中国以外の国をあまり弾圧できないことに理由があるんじゃないかと思うのです。

 

 

 

日本という国は中国やアメリカに比べると国土が狭いうえに、山間部や森林の比率が高く

農業、とりわけ穀類の自給率が極めて低いのが実情です。

 

小麦は10%少々、大豆に至っては10%を切ります。

 

 

そこは仕方がないところなので輸入に頼る。

するとわりかし莫大な金額で外国から買うことになるのですがその対象はアメリカやカナダがほとんど。

 

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穀類に対してアメリカを悪者にすると輸入量が激減、

それが原因でパン・ケーキ・麺類・菓子類、穀類を飼料とする畜産物(牛肉・豚肉)に至るまであらゆる加工食品に影響が出て生産量が低下、価格の上昇、そして外交の悪化…

 

 

 

そうなると穀類をあまり作ることのできない日本は大打撃を受けますね。

 

 

 

・中国のイメージが悪いという風潮

・抜き打ちの食品検査の詳細を国民があまり知らないこと

自給率の底辺の食品を中国以外の国に大きく頼っていること

 

 

これが日本人の食品に対する歪んだ価値観や国産至上主義をもたらす原因ではないかと感じます。

 

 

 

 

確かに農産物や畜産物では大量生産が難しい日本だからこそ、

小ロット生産に力を入れて世界に誇る素晴らしいクオリティの製品が存在することも事実です。

 

しかし何度も言いますが、小ロットであれ、大量生産であれ、今の時代に日本の小売店に出回る食品は基本的には安心安全です。

 

クオリティの面でアメリカ産が良い、国産が良いと選ぶのはアリですが、

「中国産」と書いてあるからダメという考え方は今の時代では少し違うのかな、と思います。

 

 

 

 

 

農業が得意な国もあれば

海産物が得意な国もある。

食品があまり作れない代わりに工業製品を良く作る国もある。

 

いろんな国があるからこそ、貿易というシステムが存在し

必要なものを必要な国と輸入・輸出して助け合って成り立っているのです。

 

それを成り立たせるために税関があり、国民を守るために安心安全をチェックしている。

 

 

国によって商品によってクオリティによって、好き嫌いがあるのは仕方がないことですが

せめてそれを主張できる根拠を持ちましょう。というお話でした。

 

今回使用した資料は厚生労働省のHPから確認することができます。

ぜひ見てみてください。

 

 

 

 

ちなみに僕は食べた時の幸福度が第一ですので

美味しいと感じれば中国産でも買いますし、

美味しくなければアメリカ産でも国産でも買わない、という商品もあります。

 

 

 

それでは良いグルメ文化を。

 

ごきげんよう